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〜 関東鉄道常総線……ってどんな鉄道だったっけ? 〜

社会交通工学科2年 9050番 岸 悠介




図1 常総線を走るキハ2,100形(戸頭−南守谷)


1.はじめに

 今回、記事のテーマで何を書こうか非常に悩み、約30分悩みぬいた末に行き着いた内容が「常総線」である。付け焼刃のような簡単な路線紹介記事だが、この記事を読むことで少しでも常総線に興味を持っていただければと思う。なお、乗降人員等の数値は全て平成21年のデータに基づいている。



2.路線紹介

 関東鉄道常総線とは、茨城県取手市の取手駅と同県筑西市の下館駅間51.1キロを結ぶ、非電化路線の事である。取手〜水海道区間は複線、水海道〜下館区間は単線で走り、下館でJR水戸線とSLが走る真岡鐵道、守谷でTXことつくばエクスプレス(以下TXと省略)、取手でJR常磐線にそれぞれアクセスしており、24駅ある同区間を最速63分(普通は77分)で結んでいる。平成21年時点での年間乗降客数は約1000万人。1日当たりの駅別乗降人員で見ると、最大は取手駅の約1万3000人に対し、最小は大宝の69人である。
 ちなみに、筆者の父方の実家は南○谷駅から徒歩7分ほどの所にある。



3.昔の常総線

 物心ついた頃から現在まで、父の実家への帰省時によく利用している常総線。思い入れもそれなりに深い。とは言うものの、乗るのは途中駅の戸頭か南守谷までの6、7駅程度。元気だった頃の祖父がよくマイカーで乗換駅の取手まで迎えに来てくれていたこともあり、昔は中々常総線に乗る機会が無かったというのが本音である。
 当時(1995年前後)の筆者の常総線イメージは「やたらと加速の悪い煙筒のついた電車」で、今と比べて運行本数があまり多くなく、乗り換えも下館と取手の末端駅にしかないため、非常に不便な路線だった。



4.運行形態

 平日朝夕ラッシュ時の増発による輸送力強化、快速運転とワンマン運転の実施による所要時間の短縮、新型車両の導入など、この10年で常総線は色々と様変わりした。
 中でもとりわけ大きな影響を与えたのが、TXの開業である。TXは茨城のつくばと東京の秋葉原を最速45分で結ぶ高速路線であるが、途中駅として常総線の守谷駅と接続することになったのである。これまでは、以前は取手か下館まで出て、そこから乗換えというのが一般的なルートであったが、TX開通によって守谷乗換で早く都心に向かうことが可能になった。また、守谷駅が快速停車駅でかつ始発駅であるおかげで、朝から席に座って通勤通学が出来るというメリットも大きくプラスになった。

 TX需要により、常総線の利用者の増加にも大きく貢献したと言えるが、逆に守谷駅利用者の増加により、常総線の利用距離が短くなる(払う運賃が安くなる)事態が生じる結果にもなっている。

 また、TX開業に合わせて実施を始めた朝夕の快速運転によって、下館−守谷間が最大15分前後短縮され、守谷以北の快速停車駅(主に石下、下妻など)からの都市へのアクセスがより便利になった。沿線住民からの要望で、今後は朝夕に限らずに毎時一本の運行を目指す予定でいる。快速運転に伴うダイヤ改正も行われており、平日朝ラッシュ時の7時台には1時間に10本走るようになっていたことには、筆者もかなり驚いた。




図2 守谷駅停車中のキハ2,200形




図3 時間表(赤が快速)



5.水海道より北の単線区間

 今回、常総線の記事を書くにあたって、「せっかくだから、試しに全区間乗ってみるか」ということで、簡単な取材も兼ねて常総線前線を乗り潰した。
 土曜の朝7時過ぎに守谷駅から「水海道乗換下館行き」に乗車し、水海道で一旦降りて「下館行き」に乗り換える。水海道までは以前に行ったことはあるが、そこから先は今回が初めてである。

 今回の乗り潰しで分かったことは次の通りである。
@ 直線区間が多く、スピードを出す。
A 運賃がかなり高い(取手〜下館間で1,460円)
B 快速の停車駅は全駅有人
C 玉村、南石下、北水海道の3駅は一面一線構造の無人駅(他にも無人駅あり)。

 関東鉄道のサイトに掲載されていたが、水海道以北の駅で1日当たりの乗降客数が1,500人にいる駅は1駅もない。今回の乗り潰しでは土曜ということもあったが、下妻で高校生が15人前後降りたくらいで、利用者はまばらであった。水海道を境に利用者数が非常に大きく分かれているという事実を、身をもって知ることが出来た。




図4 途中下車駅の玉村にて。真夏真冬の電車待ちはちょっと危険
1日当たりの乗降客数は83人(平成21年時点)



6.サービス関連

 経営があまり芳しくない関東鉄道。そのため常総線では、多くの旅客を呼び込むために、実に多種多様なサービスを展開している。以下に挙げた以外にも、学期定期券やミニ回数券など、多種多様なサービスを実施しているので、興味がある方は関東鉄道のサイトへアクセスして頂きたい。

@ サイクルトレイン
 水海道〜大田郷間で午前9時〜午後2時半まで車内に自転車持ち込みが可能になる。

A すこやかパス
 70歳以上の利用者で、通常より安い金額で設定された定期券を使って常総線全線を利用できる。

B フリーきっぷ
 種類がいろいろある。特に常総線1日フリーきっぷは、土休日と年末年始に限って大人1,500円(子供半額)で全線乗り放題である。筆者はこのきっぷの存在に気付いたのが下館に着いてからだったので、1,240円分損をしてしまった。
 なお、常総線&真岡鐵道線共通1日自由きっぷ(大人2,300円)は、土休日と年末年始の他に限定期間中の平日も使用できる(4月1日〜5月31日、7月1日〜8月31日、11月1日〜1月31日)。




図5 筆者が途中から使った常総線1日フリーきっぷ



7.今後の予定

 現在、稲戸井〜新取手間でゆめみ野駅新設工事が行われており、平成23年3月に開業予定である。また、前述したように今後は毎時一本快速を運転するダイヤ改正と、老朽化した古い車両の更新が予定されている。
 当たり前の事だが、今回の乗り潰しでは常総線についてより深く知ることが出来た。今度父の実家に帰省した際には、完成したゆめみ野を拝見しに行く、フリーきっぷを使って真岡のSLに乗りに行くという2つの目的が出来た。次に乗る時に、果たして常総線はどうなっているのか、今から楽しみである。




図6 建設中のゆめみ野駅




図7 最近立体交差工事を行った
とある場所にて



8.参考文献

・関東鉄道
http://www.kantetsu.co.jp/train/train_index.html
・常総市ホームページ
http://www.city.joso.lg.jp/joso/www/00220.html



 
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